「シャロン!!」



おばさまが私を呼び止める。

私は振り向くと、後ろにいたシリウスが
下がった。



「なんでしょう?」



「あなたは、変わった。
私の知ってるシャロンとは、大きく。」



静かにおばさまは言う。

目線をややそらし、悲しそうに。



「時には、
変わらなければならないこともあります。

現実を受け入れることも大事ですよ?
マダム・ヴェアズリー。


では、失礼します。」



私はそそくさとドアを開け、
今度こそ外に出た。

外にはアベノがいて、私にゆっくりと頭を
下げる。


そんなに深々とする必要があるだろうか。それとも日本人の特性か。


私はアベノもなにか言いたげなおばさまも全てシカトして、そのまま自分の部屋へいった。

アベノは目が鋭くて苦手だ。

顔つきはもちろん違うが、昔のヴィル爺が怒った顔に似ている。



もう疲れた。

今日の私は色々混乱して、怒りっぽくておかしい。


いや、怒りっぽいのは珍しくないが、それでも何かと義憤に刈られてどうでもいいことに対しても怒りを覚えている。


弁明するに、実際は2ヶ月横たわっていた訳だが、私の感覚では数時間しか経っていない。


その上雨に濡れて墓を確認、

召し使いには一回と三人同時に
押し倒され、

執事が犬へ嫉妬し、それに呆れて

おばさまに相続の話をさせられ…。



とにかく、一日に恐ろしい体験を
幾度となくしたという感覚だ。


だからといってそれだけが問題とは思えないが、一因でもある気がする。


私は懐かしい自室の様子を観察した。

部屋は、結構片付けられている。


色々片付けられ過ぎていて、私が覚えているものとは程遠いが、しかし、今はさほど気にならなかった。



私は脱力したかのように目の前にあるベッドにそのまま倒れる。


ベッドに吸い込まれるかのような感覚のなか、自然にまぶたは閉じ、深い眠りに入るのには、そう時間がかからなかった。