いや、寸前で助かったのかもしれない。



とにかく、少なくとも
お父様とお母様が殺された。


それは一瞬の出来事だった。

実際は長かったのかも知れないが、
私には一瞬に思えた。


大勢が押し寄せるかと思えば、

拳銃と剣を持った人間が私たちに
襲いかかったのだ。



私はあの時、確か
自分の部屋で本を読んでいた。


月明かりに照らされながら、窓際で。


お父様とお母様は、二人とも部屋で色々と
話し込んでいた。


私の部屋は3階。

両親の部屋は2階だから、灯りが見える。



しばらくたって、
外を見ると馬車がやって来るのが見えた。



「お客、様?」



そう思った。


しかし、なにか違う。



彼らは武装している。

一番の違和感は、
異常なほどの鋭い目付きだ。



嫌悪しか感じられない。

胸騒ぎがした。とてつもなく嫌な予感が。



「シャロン!すぐ来て!」



ドアを勢いよく開け、お母様が言った。


お母様は私の事をよく、愛称でシェリーと呼ぶのに、何故かこの日はシャロンと本名で呼んだ。

お母様が、シェリーと呼ばないときは、
なにか重要な話があるときだった。


思えば、怒られたときもそうだ。



「え?」



私は疑問に思いつつ、お母様に近寄った。


あの男たちは誰なのか考える余地もない。