…まさかな。本の読みすぎか。



「申し訳ありません。
現在奥様はお出掛け中でして…。」



セーラは一向にこちらを見ようとしない。


お陰で私だということに気づいていない
ようだ。



「セーラ、私だ。」



「えっ?」



ようやく気づいたか。


いや、待てよ?私の今の言い方では
気づかないかもしれない。


普段敬語なんだからな。


私も敬語を好んで使っていたし。



「はぁ。セーラ、私です。

元主の娘の名前も忘れましたか?」



「えっ、えっ?えっ?えっ?

おお、お、お嬢様ですか!!

本当に本当に本当に本当に本当に!?」



くどい…。



「本当です。」



そういえば、私の墓のなかには遺体は
はいっていたのだろうか?


私の体がここにあるということは、
無いということなんだろうが。



「お、お嬢様~!!!!」



「ワッ!」



セーラが飛んで私に抱きついてくる。


その衝撃で、私は倒れ、それでもセーラは
涙目で私をなんども触る。

生きているのかを確かめるかのように、
なんどもなんども。