「墓、か。たいして何も思わない。

ただ、私の親族、知人は驚くだろうな。
私が生きていると知ったら。」



「その点については、私があなたを助けた、
ということにしてはいかがでしょう?」



…………。


これについてはなんとも言えない。


考えていなかった。



「お前が決めろ。

私は知人にもしお前とどこで
知り合ったかと聞かれると、説明できる
気がしない。」



「クス。伯爵の娘ともなるお方が、
その程度のことも言えないとは……。

あ、いえ、何でもありません。」



大声でわざといったろ?
丸聞こえだバカ。


しかもまた笑顔で言われるのが腹立つ!
何様のつもりだ執事のくせして。



「執事の癖に態度が悪い。

屋敷に戻ったら必ず私が調教してやろう。
覚悟しておけ。」



「I got it,mine lady.」



こいつ、本心では納得していないな。
だが、そんなことは本当にどうでもいい。


やつらを殺す、それだけだ。


それ以上でも以下でもない。


この契約は、復讐のためだ。


私はお母様とお父様の墓に手を当てた。


二つの墓にはこう書いてある。


『Oliver・Foster,Emily・Foster,
Both passed away there.

(オリヴァー・フォスター、
エミリー・フォスター、
共に永眠あれ。)』



「必ずお二人のために貴奴らを滅ぼします。
安心して、お眠り下さい。」