列車から降りたその後、
私はシリウスに馬車をアルバート(当時あった笛のようなもの。これで馬車を読んでいたが、女性は持てなかった。名前はアルバート公から来ている)で呼ばせて屋敷へ帰った。

エルたちが出迎えたが、私は疲れているのを理由にそそくさと着替え、寝ることにした。


が、自室へ戻ってから私は寝る前に机へ向かった。

おばさまへ手紙を書くためだ。
次また同じようなことをされたらたまったものではない。

憂鬱な気持ちで机の明かりをつけ、紙とペンを取った。

-親愛なるマダム・エマ

私は今、あなたの行った行為について胸を傷ませ、頭を悩ませております。


つい先ほど、私はリチャード・カスバートン氏に偶然お会い致しました。

お話によると、どうやら私はカスバートン侯爵の屋敷へお邪魔することとなっているそうです。

シャロン・フォスターが2人いるのでないのなら、私はそのお話をお伺いした覚えが生涯の一度もございません。


ましてや、私の家令(ハウススチュワード)と手を組んでまで行動を起こす必要が本当にあったのでしょうか。

今一度、詳しい経緯を教えて頂きたく存じます。

シャロン・フォスター-


この手紙でおば様が反省してくださるとは到底思えないが、抑止力にはなるだろうと祈り、手紙に私は封をした。

そして寝る前に紅茶を飲もうと思ったが、よく考えてみれば使用人全員に「もう寝るからお前達も休め」と話したことを思い出した。

普段は特にしないというのに、変に気を使ったのが仇になってしまったようだ。


諦めて予定通り寝よう。私はそう思った。
わざわざ誰かを起こす気力もないからだ。

大人しくベッドに入り、天井の模様を目でくるくると追いながら明日のことと、アーノルドのことを一頻り考えてから、私は眠ることに集中した。