~悪魔執事とお嬢様~


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「なかなか起きませんね。
もっと早く助けを呼べば良いものを。
お嬢様の頭の回転が悪いために…」


「ん………」



目覚めたとき、なぜ自分は天井の
シャンデリアを見上げるのではなく、
広大な空を見上げているのか、

理解するのに時間がかかった。


すべて私の推測に過ぎないが、恐らく
ここはシリウスの腕の中………って



「はっ!?」



「おはようございます。お嬢様。
今日二回目の挨拶でございますね。」



なんで私はシリウスに横抱きされている。
そしてなんで私はここにいる。



「シリウス、さっきの独り言は、
聞いていましたからね。

他にも言いたいことは多々ありますが、
とりあえず下ろしてください。」



「少し残念ですね。

スヤスヤと眠るお嬢様の寝顔を
堪能するのも悪くはありませんでしたが、

起きているお嬢様も上から
眺めていたかったのですが。」



シリウスの言動に大しての比喩的な
吐き気はあったが、

文字道理の吐き気はもう無かった。
だが、気分はすこぶる悪い。


少女の遺体が脳裏に甦った。


彼らが殺されたのは、私のせいだろう。

正確には私を殺し損ねた少年のせいだが、
狙われたのは私なのだから。


私はシリウスの腕から下ろされ、
服を整えた。

あの時のままではなく、ボタンも胸元の
編み上げ紐も直されていた。

それも丁寧に。

(どうせなら他の事に
力をいれてほしいものだ。)



「ハァ…。まず、なぜもっと早く
私を助けられなかったのですか?」



「強いて言えば…

契約を発動させたかった、というのと、
身勝手な行動をするお嬢様への
お仕置きですね。」



今、本気で
私はこいつに殴りかかってやりたい。

腕力で敵わないのは分かっていても、
主人に対するこの無礼な態度を
なんとかしたい。



「そのような恐ろしい目で私を
見ないでください。

ただでさえ邪視を
掛けられそうだというのに。」



最後の一言が一番余計だ。