唯side
「なんなのあいつ!」
ズンズンという音が本当に聞こえてしまうんじゃないかと思えるくらいに強く廊下を踏みしめて歩いている。
何故こんなにも怒り散らしているのかというと
………
「んー…」
朝早くに高校に寄ってから来たせいで朝にもかかわらず眠気がすごい。
目頭を指でゴシゴシと擦り欠伸を必死に嚙み殺す。
気を張っていないとすぐにでも意識が飛ぶのではないかと思えてしまう。
それでも少しくらい寝てしまおうとは考えないのは彼女が優秀な人間であるから…というわけではない。
実際何度も病欠(仮病)しようと考えたかわからない。
それでも今彼女を動かすのは"あいつ"の存在だ。
卑怯な手を使い私を自分の欲求を満たすための道具にしようと考えているあの男子生徒。
あいつの顔が頭にチラつく。
もし休んでいる間に学校であいつがなにかして、それが私に不利益をもたらすかもしれない。
そう考えると眠気ぐらいで休むなんて気にはならない。
ぴろりん♪
ポケットの中で着信音と共に携帯が震える。
メールだ