ガララッ







「おはよ〜!」







元気にそう言いながら入ってきた女の子はその時の私の数少ない友人だった。







今ではもう名前も覚えていないけど。







だから学校に来て荷物を後ろのロッカーに置いたら私のところに駆け寄ってきた。いつものように。







「みなおはよ〜!」







「うん、おはよう!」







彼女が机の前に来た時、早くペンケースを見せたくてうずうずしていた私はもう我慢の限界だった。







「ねぇねぇ」







「ん?」







「じゃーん!私も作ってみたの!」







「え?これみなが作ったの⁉︎すごいすごい!!」






彼女は私のケースを見た途端、食いつくように私の手から奪い高々と掲げる。







そして







「みんなー!みてよこれ!みなのペンケースすごいんだよ!ほらほら!」







教室全体に響き渡るような澄んだ声を上げる。







それを聞いたクラスメイトは男女問わずなんだなんだと私の席に集まり出し、今までの学校生活ではありえない。そう思えるくらいに私の周りに人が集まっていた。







「すげ〜これ山代が作ったのか」







「わ〜!綺麗〜!」







「俺のも作ってくれよ!」







「あ、うちもうちも!」







「ちょっとちょっとそんなの大変でしょ!」







「それじゃやり方だけ!」







「う、うん……うん!」







話しかけてきた人の中にはもちろん今までに話したことのない人もいたし、そもそも男子と話したことだってほとんどなかった。







そんな私に色々な人が声をかけてくれている。







そんな状況に私は笑顔を絶やすことができなかった。








次の日、色々なペンケースを使っていたクラスメイト達が一斉にあるペンケースに変わっていたのだった。