「いいよもう来なくても」





11月24日 3時56分 1人の赤ちゃんが産声を上げた。

「残念ですが、この子は何らかの原因で心臓が弱く、生きることができるのは……あと3年ほどかと」

「そんな……この子には、永遠にはまだすることが沢山あるんです!友達を沢山つくったり将来の夢を持つことすらできないのですか!?どうにもならないんですか!?」

「こちらでは、なんとも……これはもう不治ですから残りの時間を目いっぱい生きていただくしか……」


3年後

「……っ!」

「どうしたの?永遠?永遠!?」


ピーポーピーポー……


「永遠、大丈夫、だから!」

「……はぁ、はぁ、っ」


「とりあえず落ち着きましたが、こういうことが続きますと、あの……」

「…………この子はどれくらい生きることができるのでしょうか」

「……あと、5年弱、ほどと思われます」



6年後

「永遠、」

「なぁに?」

「あのね、永遠。ちょっと難しい話になるんだけど……永遠の、心臓っていうところがね普通の子よりも弱くて、息が苦しくなったりするの。
いつ倒れても、おかしくないんだって。」

「…………うん」

「だからね、お医者さんが念の為入院しましょうって」

「……」

「永遠、大丈夫?」

「……もう病院は慣れてるから、大丈夫」



カラカラ……

「永遠、体調はどう?」

「……普通」

「そう、」

なんとなく顔がやつれている気がする。

やっぱり……そうだよね。

「ねぇママ」

「なに?」

「もう、いいから」

「え?」

「いいよもう来なくても。もう来ないで」

その時の母の顔が

今でも忘れられない。


きっともう私と会うのも嫌な気がするの。

3年後に死ぬ、5年後……っていつ死ぬのかなんて結局分かってないまま

今になってるんだから。

いつ発作が起きて倒れて死ぬかも分からない

そんなデンジャラスな立場に置かれているわけだし

もう死の宣告なんて

慣れたものだと

いつまでもこうやって焦らされるの好きじゃないから

さっさと死にたいと

思ってたはずなんだけど。

こんなに涙が溢れてくるのは

……君に会いたいのは

なんでかな。