暗闇の中で




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−ドン−ドン



体育館に鳴り響く、地響きを表すような音。

冬の風によって冷えてしまっていた指先も、部活をやると寒さなんか忘れるほど温まる。




バスケは本当にやってよかった。

気持ちいい汗がかけるし、マネージャーをしているひなたを見守ることができるから。





回ってきたボールを守りながらゴールを目指していく。
投げたボールは円を描いて、シュッと音を立てた。




ゴールを決めた後に、1番に声を掛けたのはひなた。



「拓っ!ナイスだったね。」



マネージャーの仕事を愛す俺の彼女が、笑顔と共にタオルを渡してきた。


この笑顔を見ると、さっきまでとは違う熱さが俺の体に巡っていく。



「…サンキュ」




ダメだ。ひなたを見てると触れたくなる。




タオルを受け取ると、すぐに俺はひなたから離れた。


冷たい態度を取ってしまうけど仕方ない。

これ以上近付いて部活中に襲っちまったらさすがにヤバイだろ?



今はバスケだけに集中しないといけねェのに…。