体育館に入ると、シン、とした空気に包まれていた。
俺の足音だけが響く体育館は、やはり暗い所為か、不気味な色を放っている。
辺りを見渡していると、俺の目線はドアが開いた体育準備室に留まる。
あそこにひなたがいる−−。
そう直感した俺は、その先に向かった。
「…何やってんの?」
準備室に入ると、そこにはうずくまって座るひなたがいた。
声を掛けた後、ひなたはすぐに顔を上げて俺を見上げる。
「何やってんのって……そっちこそ何やってんの!?…怖いのに…ずっと待ってたんだからぁ……」
そう言って眉をへの字に曲げたひなたは、涙目になっている。
今にも泣きそうなひなたを慰めようと、同じ目線になる為にしゃがみ込む。
「じゃあ、何でこんなに暗い所に呼び出すんだよ……」
俺は溜息をつきながら、子供扱いをするようにポンポンと頭を摩った。

