「とりあえず、やろうぜ!」


重い空気を壊すように
英慈があおいの肩をたたきうながす


「うん」




*****




時計の針を見ると3時半を指している
この作業を始めてから1時間は経過したようだ



確認が終わったダンボールはまだ数えるほどしかない



ふぅ



終わりがみえないよー




あおいはひたすらキャンドルの数を数え、英慈は電飾の確認を、
それぞれ分担しておこなっていた



手が止まり、チラッと横目で英慈を確認してみる



腕をまくり、髪が邪魔なのか視界が良いように後ろで結び上げて、
ひとつひとつ無言でチェックしている





真面目・・・・・

だよね、英慈


やることやるし、文句とかあんまり言わないし、

もっとこう・・・・自由人?っていうか無気力?

なイメージあったんだけど・・・・





「英慈って・・・真面目だよね」


「は?」


ボソッと言ったはずだったが反応されて驚いた


「いや、真面目だなって思って
 ほら文句とか聞いたこと無いしさ」


「・・・・そんなことない」


照れてるわけでも、謙遜してるわけでもない


かえってきたその言葉には
どこか自嘲じみたふくみがあった





「・・・・あおいが頑張ってるから、
 俺も頑張ってみるかなーって思ってさ」



そう言って笑うと英慈はまた作業にもどった



「よーし!わたしも頑張ろう」