「ミー? クーガーのタク兄を覚えてない?」


クーガーのタク兄?…

クーガーの… タク兄…

クーガーのタク兄!!


「えっ!? もしかして拓海が?

拓海があのクーガーのタク兄??」

「やっと思い出したか? 

あの時約束したろ?

10年経ってミーがいい女になったら

迎えに来るって!」


確かにクーガーのタク兄は言った。

小学校卒業を間近に私の父は事故で亡くなった。

父の保険金や事故の保証金は入ったが、

兄の蓮は進む筈だった大学を諦め

手に職を付けると言って美容学校に入った。

タク兄もまた

親の言いなりになるのは嫌だからと

兄と同じ美容学校に進んだ。

その時タク兄の親の言いなりとは

どんな事だかは子供の私には分からなかった

ただ私は兄の蓮を励まし支えてくれたタク兄を

慕っていた。