「拓海!」


声のする方を見ると先程店で

大きな声を出していた女性だった。


「安藤様… まだ何か?」


拓海は冷たく言う。


「どうして私には時間を取ってくれないのに

その娘には時間を取るの?

お父様だってあなたに会いたがっているのよ!

その娘は拓海の何なの!?」


はぁ…

拓海は大きな溜息をつき 

「彼女が俺の何だろうと

あなたには関係ないと思いますが?

それから何度も言いますが

あなたのお父上の会社には全く興味ありませんから!

勿論、プライベートでお付き合いするつもりも

ありません!!

もし、俺に髪を触って欲しいと言うなら

予約を取って来て下さい。

その時は喜んで髪を触って上げますよ?

勿論、お客様として!」


「拓海!私はあなたの事が好きなの!

あなただって優しくしてくれたでしょ?」


「あなたの事を特別扱いしたつもりは有りませんよ?

他のお客様と同様に接して来たつもりです。

もし誤解を招いたなら謝ります。

でも、俺とあなたの関係が変わる訳じゃありません。

今後この様な事はやめて頂きたい!

急ぎますので失礼します」


拓海は車のドアを開け

「ミー乗って」と言い私を車に載せた。