受付で上着を受け取り

支払いをしようとすると


「支払いは蓮がするから良いよ」と拓海に言われた。


「お兄ちゃんが?」


「ああ、俺からのささやかなお祝い」


後ろからお兄ちゃんの声がした。


そう言えば

就職祝いは何が良いって言ってたもんね?


「お兄ちゃん良いの? 有難う」


「ああ、行っておいで」


「え? どこへ?」


「じゃ蓮、後頼んだぞ?」


拓海はお兄ちゃんに言うと私の腰に手を当て

「行こう」と言い店を出る。


え?

なっなに?

この手はなんのつもり?


「ああ、ミーを宜しく!」と蓮が見送る。


「ちょっと拓海!? 

何してるの? この手!!」


私は拓海の手を叩き払う。


「いってぇー」


「拓海、まだ仕事中でしょ!?」


「今日はもう終わり!

これからミーとデートする」


と、言って私は駐車場に止めてある拓海の車まで

連れて来られた。


「はぁ? まだお店営業中じゃない?

それになんで私が

拓海とデートしないといけないのよ!!」


私達がこんなやり取りをしていると

聞き覚えのある声がした。