あんなに頑張ったのに

賞にかすりもしなくて…

へこんでいた時、蓮が

「初めての挫折か?」と笑いやがった。


「誰が挫折したと言った!? まだ始まったばかりだ! 俺はこの手で俺の人生の道を切り開く!」


そして必ず

蓮、お前に認めさせる!


それからは、今まで以上に頑張った。

お陰でいくつもの賞を取り、

何度か雑誌にも取り上げられたお陰で

俺にもお客が付き

予約が取れないと言われるまでになっていた。

そして店を出す時、俺に慕っていた後輩が

俺に付いて来てくれると言ってくれた。

この後輩達の為にも俺は頑張らなくては…


親父も…

親父もそうなのか?

何千人もの社員を守るために

戦って働いているのか…

その親父が引退したらあの会社はどうなる?

他の誰かが親父に代わって

社員を守って行ってくれる?

親父が、守って来たあの会社を

他人に託して俺はそれで良いのか?…