悔しかった…

蓮に俺の事を見透かれた様で…


「じゃ、俺がお前に認められる男になったら

未來を俺にくれ!」


「拓海が、自分の人生とちゃんと向きあえたらな!」


それからの俺は変わった。

いや、変われるように努力した。

朝は誰よりも早く店に出て

掃除や開店準備をして

閉店後はマネキン相手に遅くまで練習して

休みの日は街へ出て流行りのヘアースタイルや

ガラス越しに見える美容室の前で

1時間も2時間も立ち人気美容師の手元を見ていた。

お陰で、不審がられ何度も店の人に怒られ

警察を呼ばれる事もあった。

それからは、女友達に金は俺が払えからと

人気美容室に連れて行き

美容師には頭を下げ頼み込み

近くで手元を見せて貰った。

何度かそんな事を繰り返しているうちに

勤めていた美容室のオーナーに

コンクールへ出て見ないかと進められ

コンクールへ出たが

世の中そんなに甘くない事を知った。