見えちゃうけど、好きでいて

「そぉね、すてきね」
季衣の笑顔は引きつっていた。
『この人は、ピンク色が好きなの』
小さくうなずいて「ピンクのアイシャドーなら、チークはすこしオレンジ色にして……」と言いながらちらちらと時恵の後ろを見た。

メイクをしている間、時恵の隣にぴったりと寄り添っている、青白い顔の人物。
「どういしてここにいるの?……」
「何かしら?」
「あ、え、えっと……」
季衣は意を決して質問をしてみた。