見えちゃうけど、好きでいて

「お待ちしておりました、菅沼時恵様」
お辞儀をして、顔を上げた途端、季衣は悲鳴をあげた。
「なぁに？あなた、人の顔を見るなり悲鳴をあげて」
「た、大変失礼いたしました……」
深くお辞儀をしている季衣の表情はこわばっている。
「どうして、ここにいるの？」
ぼそっとぼやきながら、気持ちを切り替え笑顔で時恵と向き合った。