見えちゃうけど、好きでいて

季衣はデパートの一角にある、化粧品の販売員。
「浦賀さん。このお得意様の担当はあなたね」
そう言って、渡されたのは、顧客リストだった。
「あ、はい。わかりました」
「やったね。これであんたは、少しは認めてもらえたってことかな?」
耳元で囁くまどかをよそに、目の前にいる、女社長を恐る恐る見上げながら、苦笑いをした。