見えちゃうけど、好きでいて

ふぅとため息を漏らすと「もう帰っていいぞ」と椅子をくるりと向けた。

「え?」

「ん?なんだ?それとも、またあそこに入りたいか?」

そう言って指さしたのは、留置場だった。

季衣は大きく首を振って拒んだ。

「あそこに一人いるから……」

ぼそっとつぶやいたが、警官には聞こえなかった。