パパの大きくて優しくて、暖かい手が優しく私の殴られた頬を包み込むように撫でてくれて、そして力強く抱き締めてくれた。
その強さに、私は強張った体がじょじょに力を抜いて、パパにその身を預けた。
「……怖かっただろ?」
「…怖かった。パパが…早く帰ってくれたから、すごく嬉しい…」
パパのスーツから、タバコの香りがする。その匂いに私は、安心した。今までだったら、タバコを吸っているパパが嫌いだったのに…。
「…笠良さん……?」
聞き覚えのある声と、普段聞き慣れない自分のファースト・ネームに驚いて顔を上げて、そちらに視線を向けた。
「「…新堂先生」」
私とパパが同時に、新堂先生の名を口にしていた。

