夏の、強烈な紫外線を含んだ陽射しに目を細める。

アイロンの掛かった白いワイシャツに、灰色の制服のズボンを腰辺り迄下げて、俺は自分の名前が大きく書かれた黒板の前に立っている。

二年の教室は二階にあり地面からの熱は届かないが、窓の外から容赦無く射す太陽光線に、皮膚はジリジリと焼けていく。

この町の学校にはクーラーが無いのかと文句を垂れそうになるが、額から滲む汗の方が、先に頬を伝って垂れた。


担任となる、まだ若い男性教員が、俺の紹介をしている。

三十人程分ある教室中の好奇の視線は、全て俺に注がれていた。

この町に転校生が来る事が余程珍しいのか、まるで俺は動物園のパンダにでもなったのかと錯覚してしまった。


「じゃあ川崎、挨拶して」

一通り俺の紹介が終わったのか、教壇に立つ担任は、その横に立つ俺に少し顔を向け言った。


びゅう、と音がし、一陣の強い風が吹いた。

開いていない方の窓ががたがたと音を立てて揺れ、そちら側の、半分閉められたカーテンを大きく煽った。

その風は少し遅れて、俺の少し長い髪を揺らした。