「有りすぎる」

小野田は冗談を言う様に肩をすくめ、携帯を閉じた。

「実は藤本からなんじゃないか」

言った後に、たちの悪い冗談だったと思った。

だが、藤本のメールはFw:が一つだった。

その藤本が小野田に送れば、Fw:は二つになる。

可能性としては無くは無いが……まさかな。

「あははっ、かもなぁ。でもあいつメアド変えてねえや。それに――」

俺のたちの悪い冗談を、笑って返す小野田。

「それに、あいつはそんな事する奴じゃない」

小野田は藤本を信じている。

小野田の言葉と優しく笑った表情に、俺もつられて目が下がった。

「本当は一人だけ心当たりあんだ。俺、これからそいつ探ってみるから。亜由美達にはあの噂言うなよ」

そう言って小野田は立ち上がり、くしゃくしゃの千円札をテーブルに置いた。

「おい、藤本来るんだろ」

「あいつ一人にしないでやって。俺、連れてけないからお守り頼むな」

「は?」

「じゃあな」

俺の制止の声も聞かず、小野田は颯爽とファミレスから出て行った。

何だってんだ。

俺がここに呼び出されたのは、藤本のお守りを頼む為だったのだと今理解した。