旅人の声はお城の王子様にもちゃんと聞こえていました


その声は何故か歌のようにも聞こえ、国の人も王様も王女様も、そして王子様までも泣きだしてしまったのでした


『今まで楽しい、明るい、優しい歌しか知らなかった。こんなに…こんなに悲しい歌があるなんて…』


小さな小さな国の人々はこんなに悲しい歌がある事を知りませんでした

歌を聴けば踊り、笑い、一緒に歌い…それがこの国では当たり前で歌を聴いて泣く事があるなんて思いもしませんでした。




泣き声は一晩中響き渡りました