しかし綺麗な心を持った村人には嘘を付く事は出来ませんでした

たとえそれが旅人の為だとしても


「旅の者、よくお聞き下さい。この国の王子様には声がありません。この国の者は皆、歌が大好きです。ですが、この国の王子様には声がないのです。産まれ付き声を持たないのです。」



旅人は絶望しました

ここへ来ればきっと本当に素晴らしい真実の歌があるのだと信じていたのです


「どうして…ここへ来れば真実の歌があると…本当に…キレイな歌があると信じていたのに…」


旅人は泣きました

泣き叫びました


小さな小さな国中に響き渡るくらいの大きな声で