ラストに込めた一球

私が小さい時。

まだ6歳だった私。

『お父さんー!お散歩いきたい!』

「お!行くかぁー!ママ行ってくる!」
「行ってらっしゃい!」

普通の幸せの家庭だった。

この後あんなことが起こるなんて。


『パパ!あのお犬さん可愛い!
触りたい!!』

「ダメだぞ!噛まれたら大変だからな」

『やだー!!』
私は信号なんて分からなくて
そのまま走った。

「危ない!瑞希!!」

ギィーー。バッン。

キューブレイキの音。
ガラスの割れる音。

私は気づくと倒れていた。
横を見ると。

血だらけのお父さん。

助けを呼ぶ大人の声。

私を心配する知らない人。

『お父さん。お父さん。』

私は必死に名前を呼んだ。

その後すぐ、救急車が来て
お父さんは運ばれた。

私はお父さんがかばってくれた
かすり傷ですんだ。

私がワガママなんて言わなければ。

その後お父さんは天国に行った。

お母さんは毎日隠れて泣いていた。

ねぇお父さん。私がワガママ
言わなかったら
今でも笑ってそばにいてくれましたか?

ごめんなさい。お父さん。

泣いていて気づいたら5時の鐘。

『いえにかえらなくちゃ。』

玄関のドアをあける。

『ただいま。』

「おかえり!暑かったでしょう!
お風呂入りなさい!」

そのあとお風呂に入った私は寝てしまった。