そして抱っこしている猫…


〝 昔、猫飼ってたんだよ。ちっちぇー時に拾って。〟



あの時に言ってた猫だ。



すっごく可愛がってたんだろうなぁって写真からでも分かるし、いなくなった時は本当に悲しかったんだろうなっていうのも分かる。




「次は肘な。」



「あ…うん。」




左肘を突き出すと真剣な顔で手当をする瞬くん。



なんでそんなに優しくしてくれるの…?



今の今まで忘れちゃってたけど、瞬くんはあたしのことめんどくさい女だって思ってるわけで…



それを優雅くんにも言ってるわけだし。



こんな怪我をしてるあたしなんか放っておけばいいのに……


でも、それでも助ける瞬くんは本当に根っからの王子様だな、なんて考えるあたしは相当バカなんだろうな。



好かれてるって自惚れちゃいけないし、瞬くんは優しいから怪我してる女の子みんなにこんな風にするんだろうけど…