あたしのことをおんぶしてくれた瞬くんは、あたしのカバンを拾って立ち上がり、学校の方向に引き返して進んでいき、学校を通り過ぎると、全然知らない道に進んでいく。
知らない人ばかりだけど、同じ高校の制服を来た人達が少しだけいて、すごく視線を感じる…
あたしは誰だか分からないし、向こうもあたしのこと知らないんだろうけど…
瞬くんは有名だもんなぁ。
どうしよう、明日から倉永さん達みたいな人達にたくさん囲まれちゃったりしたら。
またこうやって瞬くんが助けてくれる…なんてことはないよね…、
それに、こうやってあたしをおんぶしているのを見られるって瞬くんにとってマイナスだよね?
こんな誰?って感じのあたしをおんぶまでして…本当に申し訳ない。
「あの…本当にごめん、なさい。」
「なんで謝んの。」
「だって、その…おんぶまで…あたし、重いのに…」
瞬くんはあたしの方を少しだけ見ると、フッと少しだけ笑ったような気がした。
でも何も言わずにまた前を向いて歩いていく。
夢みたい…

