そう考えて目を擦する…
でも、目の前にある綺麗だけど男っぽいごつごつした手は消えなくて。
「大丈夫か?ほら、手。掴んで。」
こんな声まで聞こえてくる。
何度も何度も目を擦るけど、やっぱりそこには瞬くんがいて。
「もしかして夢だとか思ってんのか?それとも立てないのか?それなら…ほら、乗れ。」
ついにはあたしの目の前に来て、あたしに背を向けてしゃがんだかと思えば、おんぶしてあげるとでもいうような格好をする瞬くん。
おんぶはダメだよ!!!
うん、それは絶対ダメ!
「あの…いや、大丈夫だから!その、大丈夫だよ!立てる、平気!大丈夫……うん、大丈夫…」
「痛いんだろ?俺ん家歩いて行ける距離だから、黙って乗っかれ。」
立とうとしても膝が痛くて立てないあたしの手を掴んで、あたしのことを無理やり自分の背中に乗っからせる瞬くん。
乗らないようにと抵抗しても体のあちこちが痛くて、思うように体が動かないあたしは…あっという間に瞬くんの背中にいて。

