冷たいあたしの王子様




とにかく、あたしも帰らなきゃ…



カバンに入れる途中だった教科書と筆箱を入れると、カバンを持って教室から出る。



ドヨーンとした負のオーラに包まれてる頭の中を誰にもバレないように、すれ違う友達にバイバイ!と笑顔で言いながら、バス停まで歩く。



あ、木のベンチ…



もうそろそろ瞬くんの姿を近くで見たいよ…



毎朝毎朝、瞬くんが登校してくる姿を見てるって言っても…やっぱり近くで見たい。



それにたくさんお話だってしたい。



そんなことを考えてるあたしは、瞬くんのことで頭はいっぱいで、木のベンチばかりを見つめて…


当然足元にある大きな石ころになんか気付くはずもなく。




「あっ…!…っ痛っ!痛ーい!!」




気付いた時には転んでいて、それも派手に転けてしまったせいか…両手のひらに左肘に両足の膝を擦りむいてる。



どんどん血も出てきていて見ているだけで痛い。