冷たいあたしの王子様





「ハァ…ハァ…ハァッ、ハァー…茉由ちゃん…疲れたァー。」




あたしは屋上から逃げるように走って教室まで戻ってきた。



そして、さっきまであたしが座ってた椅子に座ってる健太くんとお弁当を一緒に食べている茉由ちゃんに抱きつく。



…健太くん、ごめん!


あたしのせいで健太くんを振り回してばっかだけど…今だけは許して!




「陽葵…思ったより早かったのね。大丈夫…思う存分泣くんだ!あたしがいるから。ね?」




あれ…?



赤ちゃんを撫でるようにあたしの頭を撫でる茉由ちゃん。



思う存分泣くんだ…って、



…ちょっと待って。


一旦茉由ちゃんから離れて、茉由ちゃんと目を合わせる。



あたしの目が涙目ではないことにまず驚き、目を丸くした茉由ちゃん。


…やっぱり。




「ねぇ茉由ちゃん。あたしまだ告白してないよ?」



「え?そうなの?じゃあどうして教室に走って帰ってきたと思えば、抱きついてきたのよ。」



「えっと、まずね、…………」