冷たいあたしの王子様





「あのすみませーん。ちょっと通してもらってもいい?」



「え!?あ、ごめんなさい!」




突然背後から男の人に声をかけられて、咄嗟に後ろを向いて、相手の顔なんか見らずに頭を下げて謝った。



屋上に誰かが来たことなんか今まででなかったのに…



顔は見てないけど、さっきの声は瞬くんじゃない。



でもなんか、制服の気崩した感じ…見たことがある…ような。




「え、え、え、え!!」



「え?」



「うわお!吉永陽葵ちゃんだったんだ!!」




変に驚いた声が聞こえてきたから頭を少し上げて、目の前にいる人を見ると…



た、竹内優雅くん…!!?



あたしが内心とても驚いてると、優雅くんもあたしの名前をフルネームで叫んで驚いてる。



あたしの名前、知ってるんだ。



嬉しい…けど、優雅くんはきっと瞬くんに付きまとってるうざったい女って覚えてるんだろうな。



はぁ…


倉田さんに言われたことを思い出すだけでため息が止まらなくなる。