冷たいあたしの王子様





「分かりずらいんだってば…」



「え?陽葵なんて?」



「あ…いや、ううん!あたし、行ってくる!もう思い切って瞬くんに告白して、吹っ切ってくる!」



「うん!そうと決まればいっちゃえー!」




茉由ちゃんに背中を押されるままに教室を出て、屋上に向かって走る。



…あー、でもどうしよう。



走りながら緊張していく。



そして屋上に続くドアの前に着いたあたし…



このドアを開けて、ベンチに座ったり寝転んだりしている瞬くんの側まで行くのがあたしの生きがいみたいなものだったんだけどな。



ちょっと行かないだけでドアを開けることさえ躊躇してしまう。



告白をする、なんて…



今までもちろん好きだなんて自分から伝えたことなんて1度もない…ってか、誰かを好きだって思ったの瞬くんが初めてだし。



あーもう!


いっそのこと屋上に瞬くんがいなければ、告白なんてしなくて済むのに…



ってあたしってば何考えてんの。