冷たいあたしの王子様





「……ふぇっ……ぐすっ…」




そんな思いとは裏腹になんでこんなに涙が溢れてくるの?




「ひーよーりーっ!!」



「…ぐすっ、……まゆっちゃん…?」




何も考えずにただ、ただ、がむしゃらに走って中庭にあるトイレに入って泣いていたのに、どうして茉由ちゃんの声がするの…?



拭っても拭っても溢れ出る涙を必死に抑えて、トイレの扉を開ける。




「陽葵…っ。バカ!あたしがいるって言ったでしょ!?陽葵の味方だって!嘘ついて、1人で何でも抱え込んじゃダメって言ってるじゃん…!!」




あたしの顔を見た途端、抱きついて来た茉由ちゃん。



必死に探してくれたのかな……?



すごいよ…茉由ちゃんっ。