助けてくれた人は、綺麗な艶のある黒髪が無造作に立っていて、カッコつけていないるわけではないのに、とってもカッコよく見えて。



とても綺麗な二重に、筋の通った鼻、薄くて綺麗に発色した唇。



あたし……



こんなに綺麗な顔の人、初めて見た…




「体育館、探してるんだろ?」



「え……あ、うん。」



「こっち。」




そう言うと、スタスタと長い脚で歩いていく。



そんな姿もカッコよくて…




「王子様みたい…」




つい、そう口に出してしまったんだ。



本当に王子様みたいで、あたしは多分その時に恋に落ちてしまったのかな…?



小さい頃から王子様が白馬に乗って迎えに来てくれることを待ってたあたし。



白馬には乗っていないけれど、あたしを迎えに来てくれたんだよね?



あたしの呟きは、王子様に少しだけ聞かれていたみたいで「は?」って言われちゃったけれど。



そんなの今のあたしにはどうでも良くて…



ただただ、王子様の後ろ姿を歩くことだけに必死だったの。