冷たいあたしの王子様




瞬くんがいることを願って、屋上のドアを意を決して開く…



昨日は何も話すことが出来なくて、そのまま屋上から飛び出して行っちゃったから、今日はちゃんと話すんだ。



…今日もちゃんといた。



あのベンチは瞬くん専用になっているのかな?



今日も昨日と同じベンチに寝転がって、本を顔の上に被せて寝てる。



何の本を読んでるんだろう…



瞬くん、本を読んでそうな顔だし、そんな雰囲気あるし。



きっと難しい本を読んでるんだろうな。



題名を読んでも、どんな本か分からないあたしは、瞬くんのことを好きになる人としてダメだなーなんて思ってしまう。




でも…本を読んだりするの苦手だしな…




「あ……っ。ごめんなさい、また起こしちゃった。」




いろんなことを考えながら、瞬くんに近付いていたら。



突然、瞬くんが起き上がってちゃって…



とても近い状態で向き合う形になってしまった。




「なに?」



「え、えっと…昨日も起こしちゃってごめんなさい!」




やっぱり冷たい瞬くんに少しだけ落ち込んだけど、目をよく見ると優しさが滲み出てるように感じる。