僕と道化(ピエロ)と君の恋

 言うと同時に、男は『僕』のミゾオチに爪先を減り込ませた。

 「がはっ!」

 出店で食べた胃の中身が逆流して、口から零れる。

 「ちっ!汚ねえな!」

 男は『僕』に唾を吐きかけて背中を向けて戻って行った。

 「お前……ら」

 必死に男の方を向くと見覚えのある浴衣の裾が、目に写りこんだ。

 それは間違い無く早紀の着ていた浴衣だった。

 「さ……き……」

 口の中に残る不快感を堪えて名前を呼ぶ。