「はい、風船ね。しっかり握ってね」

 疲れた顔など出来るはずもく、笑顔で風船を配り歩く僕。

 『新人の二人、華崎さんと日之輪さんだっけ?面白い子だったね』

 「面白くない、疲れるよ」

 珍しく外で『僕』が話しかけてきた。

 『久しぶりに笑わせて貰ったよ』

 「それはマコトだけ、僕は久しぶりに本気で腹が立ったよ」

 心の中で『僕』なんて呼んでも混乱するだけなので、『僕』の事はマコトと呼ぶように決めていた。