「え……と、この場合はどうなるの?」

 台所で、小気味よく包丁でリズムを刻むニチカに僕は尋ねる。

 「複雑ですよね、シンヤさんとアユがあの調子じゃ私達が会うのも何となく気まずいですし……」

 包丁の音が途絶えて、エプロンをしたニチカが台所から顔を出す。

 「だよね、結婚どころじゃないよね」

 シンヤとアユが別れてから、ニチカは実家に帰った。

 二人は気にしないでとは言うが、そうゆうわけにもいかない。