僕と道化(ピエロ)と君の恋

 彼女は熟れたトマトの様に顔を真っ赤に染めて、膝を低くした。

 んー……

 美味しそうだ。

 何と無く気まずい雰囲気になり、僕らはお互い視線逸らした。

 全ての物を鞄に戻して立ち上がってからも、別れるタイミングを逃してしまい、僕らはしばらく俯いたまま向かい合って立ち尽くしていた。

 沈黙を破ったのは彼女だった。

 「あ……ありがとうございました」

 「いや、全然……」

 再び沈黙。