僕と道化(ピエロ)と君の恋

 「きゃっ!」
 
 肩から掛けていたバックが、彼女がお辞儀するのと同様にお辞儀をして、物の見事に中身をぶちまけていた。

 少し考えてから僕は溜め息を一つして、エンジンを切ってから愛車を降りた。

 「大丈夫ですか?」

 言いながらしゃがみ込んで散乱した化粧品などを拾い集める。

 「あっ!大丈夫です、大丈夫ですから!行かれて下さい!」

 慌てて彼女もしゃがみ込み、鞄の中身を拾いながら言った。