「徹……。ふぇ、」 「泣くなよ。……泣かないで。」 なんだか涙がとまらなくなってしまった。 徹、なんで、こんなことするの? 泣き止ませるため? 「ごめんな、彩音。」 謝らないで欲しかったよ。 欲しかった言葉は、そんな言葉じゃないから。 まだ、私の体は徹に包まれていた。嬉しい距離。 もっと近づきたいと思ってたのに、体の距離は0でも、心は全然近づいた気がしなくて。 徹の胸板を両腕で押した。案外、あっさりと開いてしまう距離。