ガチャ...。


こういう時、ドアはきしんだ方がスリルが増すものだが、残念ながら、ドアはきしまなかった。


ドアの内側は、完全に家だった。綺麗なパンツが干してあったので、それを構わず履いた。


部屋の中を探索すると、キッチンがあった。鍋がなにやらグツグツと音を立てている。開けると、シチューだった。


私は火を止め、手が火傷するのも構わずにシチューを手ですくった。

手の土臭さが付いていたけど、なんとか食べた。

「おいしい...。」

1日ぶりの温かいご飯。

気付くと私は、涙を流していた。


助けを呼ばなかったのは、私の判断だったのに。


キッチンを出て奥へ進むと、ベッドルームがあった。キングサイズの大きなベッドが2個ほど置いてある。


その瞬間、急激な眠気に襲われた私は、そのままベッドに倒れ込み、意識を手放したーーー。