「でももしかしたら、拉致でもされたのかもしれない!あの真面目なニンマが浮気なんて…有り得ないから。」

「…………。」

お、黙ったぞ?心当たりがあるのか。

私は極めつけ、と言わんばかりにこう言った。

「ところで、裁判長。ニンマは最近、所属裁判所が変わったんですよ。何処になったか聞いたら、ニンマ、嬉しそうに言ったんですよ、クリリアス裁判所だって。」

カルロスの顔がギクリとしたのを私は見逃さなかった。そして、さらに言った。


「取締が、クリリアス=カルロスだって。クリリアス=カルロスは、自分をニンマだと呼んでくれて、とても親しくしてくれるって。」

カルロスが軽く後ずさりをする。


「おかしいですよね?クリリアス=カルロスサイバンチョウ?」

「うっ...五月蝿いっ!」

カルロスは、叫んだ。そして、どれだけニンマが好きだったのかを泣きながら語った。


そんなの、知るものか。

好きなら尚更、好きな人には幸せになって欲しいと思うのではないのか?


コイツは、狂っているのか?

すると、カルロスが肩を震わせながら呟いた。

「お前は...俺の秘密を知ってしまった、俺が...悪徳裁判官だということに」

それを聞いた時,私の怒りが最高潮に達した。木材と共にバラまかれていたノコギリを手に持つ。


「ふっ...。それの何がいけない?お前は、愛するニンマを殺し、私を絶望の淵へと落とした。そんな奴は、裁かれて当然なんだ」

「...と、いうと?」

「まだわからないのか?...お前をここで殺す」

「...!!!く、来るな!」

「ハッ、そう言われて来ないわけないだろ」

「っ。来るなぁ...。お前が、お前が居なければっ...!ニンマは俺の物になったのに」

「ふっ。負け惜しみもイイトコだな。」

「馬鹿にしやがってぇ...!お前なんて!」