夕食を終えると、いつもの様に藤代さんは出掛けて行った。渉さんが泊まる夜は彼も外泊をする。
 宛てがあるのかと心配を口にしたら、「男のところだろう」と渉さんは事も無げに言った。

「俺と居る時に他の男の話か? ずい分と余裕だな」

 ダブルサイズのベッドで、わたしを下に体勢を入れ替えた彼は、口の端を歪めて肌に指を滑らせた。脚の間で蠢く感触に躰を仰け反らせ、小さく喘ぐ。

「ア、・・・ちが・・・っ」

「あんまり妬かせるなよ。・・・抑えが利かんぞ」

 一息に貫かれて揺さぶられて。

 激しい波と優しい波。

 今だけは。何も考えない。

 貴方が何者だとか、・・・未来だとか。


「・・・織江・・・」


 ああ。名前を呼ばれただけで。

 
 生きるのを赦された気になる。


 あんなに、早くいなくなりたいと願っていたのに。


 渉さん。


 貴方が死神だったらいい。


 貴方の望むままに、この魂を捧げますから。