散歩コースになるいつもの公園は、街中のオアシスのような憩いの森だ。
 噴水がある小さな広場と遊歩道。夏は木陰に、冬は陽だまりに、思い思いの時間を過ごす人達が居て。
 わたしは緑の薫りや心地良い風を感じながらただ歩く時もあれば、ベンチでのんびりランチをしてみたりもする。

 公園という場所では誰も“独り”を気に留めない。自分も気にならない。空や雲を眺めて息苦しさから解放してあげる。井戸の底で藻掻いているような、・・・日常から。
 だから今日も木漏れ日を感じながら散歩をして、それから広場のベンチで心を天日干ししてみたら。気持ちが乾いて少しは軽くなるんじゃないかと思った。鬱蒼とした整理のつかない感傷をいつまでも抱えていたく無かった。

 そう思っていたのに。
 わたしが向かったのは笹原町の公園通りだった。
 アパートの最寄りのバス停から団地行きのバスに乗り、公園前で下車すれば。あの夜の、あの場所がある。
 そこに行って何になる訳じゃないのは知っている。・・・“答え”を求めたかった訳じゃない。
 ただ。そうせずに居られなかった。それでも、そうするしか。