余韻も鎮まり躰が落ち着いたのを見計らって、わたしは渉さんの腕枕からそっと顔を上げる。
黙ってこちらを見やった彼に躊躇いがちに、それでも訊かずにはいられなかった。
「・・・・・・高津さんは・・・?」
わたしは手を取らなかった。またひとつ、消せない憎しみを積み上げてしまった。その罪は自覚している。
きっとまた・・・相対することになる。高津さんが自分の復讐(のぞみ)を叶えるまで。・・・繰り返す果てなく。
「・・・お前が気に病む必要はない」
「でもわたし・・・、高津さんをもっと追い詰めてしまったんじゃ・・・」
「責任は俺にある。・・・巻き込んで悪かった。織江はもう何も心配するな」
静かに言い切り、渉さんはわたしの頭の後ろに腕を回して髪を撫でる。
そうして貴方はその背に、自分だけで痛みを引き受けようとするの。 それが貴方の優しさだと分かっている。分かってはいるんです。でも。
「・・・自分だけが守られているのは苦しいんです」
彼の目を見つめ返して切願した。
「渉さんだけが苦しむのは厭なんです。・・・わたしは渉さんのものです。それなら一緒のはずです。渉さんが背負うものも全部わたしのものです。・・・わたしでは役不足なのは分かってます。ぜんぜん子供で何も出来なくて、藤君にも覚悟が無いって。でもせめて、ほんの少しでもいいから、わたしも渉さんの力になりたいんです。だから」
一人で抱え込んでしまわないで下さい。そう言おうとして。気が付いた時には渉さんの胸元にきつく抱き込まれていた。
黙ってこちらを見やった彼に躊躇いがちに、それでも訊かずにはいられなかった。
「・・・・・・高津さんは・・・?」
わたしは手を取らなかった。またひとつ、消せない憎しみを積み上げてしまった。その罪は自覚している。
きっとまた・・・相対することになる。高津さんが自分の復讐(のぞみ)を叶えるまで。・・・繰り返す果てなく。
「・・・お前が気に病む必要はない」
「でもわたし・・・、高津さんをもっと追い詰めてしまったんじゃ・・・」
「責任は俺にある。・・・巻き込んで悪かった。織江はもう何も心配するな」
静かに言い切り、渉さんはわたしの頭の後ろに腕を回して髪を撫でる。
そうして貴方はその背に、自分だけで痛みを引き受けようとするの。 それが貴方の優しさだと分かっている。分かってはいるんです。でも。
「・・・自分だけが守られているのは苦しいんです」
彼の目を見つめ返して切願した。
「渉さんだけが苦しむのは厭なんです。・・・わたしは渉さんのものです。それなら一緒のはずです。渉さんが背負うものも全部わたしのものです。・・・わたしでは役不足なのは分かってます。ぜんぜん子供で何も出来なくて、藤君にも覚悟が無いって。でもせめて、ほんの少しでもいいから、わたしも渉さんの力になりたいんです。だから」
一人で抱え込んでしまわないで下さい。そう言おうとして。気が付いた時には渉さんの胸元にきつく抱き込まれていた。



