「・・・・・・藤君」

 ハンドルを握る彼は横目の視線だけ、こちらにチラと向けた。

「高津さんは、静羽さんの弟なんでしょう・・・?」

「・・・まあね」

 他人事みたいな口調が、却って現実を色濃く突き付ける。

「しかも二の組の幹部候補だからな。・・・面倒臭いにもホドがあるっての」

 藤君は最後の方は吐き捨てるように呟いた。



 高津さんが誰であったとしても。
 わたしは。
 渉さんだけを信じていればいい。

 ・・・信じられなければ。終わるのだから、凡てが。