いつもの海鳴り亭で。いつもの4人掛けテーブルに5人。

「高津君を歓迎して、乾ぱーいっ」

 由里子さんの明るい音頭で歓迎会が始まる。
 牧野君の送別会がついこの間だった気がして、否応ない時間の流れも実感してしまう。

「高津さん、今日は車じゃないんですかぁ?」

 発泡酒を注文した彼に果歩ちゃんが、すかさず突っ込みを入れる。
 高津さんはわざわざ、セルドォル近くに駐車場を借りて車通勤らしい。わたしが休みだった木曜の帰り、生憎の雨になったのを駅まで車で送ってくれた、と果歩ちゃんは大興奮でその日のうちに、電話報告までくれたのだ。

「さすがに飲みたいからね、今日は」

 涼し気に云う高津さんに、ノンアルコールのビールを手にした由里子さんが、うんうんと頷いて見せて。

「晶はあたしが送ってくから、飲んじゃっていいわよぉ?」

「うわっ、由里子さん今、高津さんを名前で呼び捨てにしましたっ?! えっ、二人ってどーゆうカンケイなんですかぁっ?!」

 果歩ちゃんが悲壮な悲鳴を上げた。

「昔からの知り合いかな。今は雇用主だしね」

「そうそう。全然色っぽい関係じゃないわよ~」

 今日は上座に高津さん、右側に果歩ちゃんと野乃ちゃん。向かい側に由里子さんと、奥にわたし。角を挟んで彼と隣り合わせの果歩ちゃんは、相当テンション高めだ。

「・・・結城さんと東谷さんは、あんまり飲まない?」

 唐突に高津さんから話を振られて、野乃ちゃんが少し驚いたように視線でこちらに助けを求めるから。小さく笑い返しながらわたしが代弁。

「二人とも甘いカクテル系だけで、2杯か3杯ですね。その分、由里子さん達が呑みますから」

「あー織江さん、ひどーい! 果歩を酒乱みたいにぃ」

 うんうん、果歩ちゃんは泣き上戸のプチ酒乱だよね。